三重県の農業・農業者 AGRICULTURE

三重県の農業者

岡田 康平 Kouhei Okada

 いなべ市北勢町で水稲18ヘクタール・小麦10ヘクタール・大豆8ヘクタール・そば2ヘクタールを栽培する岡田康平さん(29)。農業を営む祖父を見て育ち、幼い頃から「農機具の展示会に行きたい」と両親にせがむほど、農業に興味を抱いていた。
 農業大学校を卒業後就農して7年目で、現在は収量向上のために土壌改良などに注力している。
 地元農家からほ場の委託を受けながら面積を拡大してきた岡田さんは、地域との信頼関係が自身の農業の基盤になると考えており、「同世代の仲間と切磋琢磨して農業を盛り上げ、地域に還元していきたい」と力強く話す。
 今後は法人化も視野に入れるなど、精力的に営農に尽力し地域を代表する生産者を目指す。

市川 恭之 Yasuyuki Ichikawa

 鈴鹿市山本町で茶業を営む市川恭之さん(27)。現在約80アールの茶園を管理し、茶葉の生産に励んでいる。大学卒業後、茶栽培の見聞を広めるため、ベテラン茶農家の下で2年間研鑽を積み、2015年に本格的に就農した。
 近隣の茶農家やJA職員と情報交換をしながら連携を強め、栽培規模の拡大と同時に、飲料メーカーが求めるニーズに合わせた茶葉の生産に取組む。
 市川さんは「今後も適期摘採を行い、高い品質を維持し、安定した茶葉の生産に励みたい。今後は、海外の日本茶への関心の高まりを追い風に、販路の拡大に力を入れていきたい」と話す。

太田 誠 Makoto Ota

 2018年設立の津安芸地区農業青年部会長である太田誠さん(40)は、津市雲出島貫町で水稲を栽培する。幼い頃から祖父の営む水稲栽培を手伝うが、太田さんが24歳の頃に祖父が倒れ、父と共に本格的に就農。現在は借受地を含め約20ヘクタールで栽培。水稲の休閑期には加工業務用キャベツを栽培し、複合経営を進める。
 太田さんは「部員間の交流を深めて知識や技術を結集し、収量の安定や作業の省力化等の経営改善を図って若手農業者の増加に繋げたい」と意気込む。また、「息子たちの世代が就農するとき、農業所得や作業環境で安心して農業ができる環境をつくりたい」と優しい笑顔で語る。

轟 明弘 Akihiro Todoroki

 「若手農業者が増えれば」と話すのは津市の轟明弘さん(31)。親が営む農業に携わり、1年前から本格的に就農。家族や地域の人に支えられながら水稲5ヘクタール、キャベツ40アールの他、ハクサイやブロッコリーなどを栽培する。
 轟さんは就農を機にJA三重中央青壮年部に入り、同世代の農業者と交流しながら、営農の知識を深めている。
 目標は、若い世代に農業を職業の選択肢として考えてもらうこと。農業を営む自身の姿を次世代に発信して、高齢化が進む地域農業の活性化を目指す。
 轟さんは「農業が子どもたちの憧れになれば」と話し、「農業の魅力を伝えるため、青壮年部と共により良い米作りや野菜作りに励みたい」と意気込む。

光山 北斗 Hokuto Mitsuyama

 松阪市中ノ庄町で米・麦などを生産する光山北斗さん(34)は、昨年3月に就農。義父の松田忠正さん(60)が経営する「夢ファームターチャン」に弟子入りし、約30ヘクタールを作業受託する。
 就農して1年間は資格の取得やJAが開く研修会に参加し、農業経営に必要な技術や知識の習得に努めた。
 もともと人と関わる仕事に就いていた光山さんは「人との繋がりが深い農業はとても魅力的だった」と話し、地元農家との関係も築き上げている。
 光山さんは今後の目標に「常に仕事のことを考え、地域や人のためになることをする義父の名に恥じないような2代目農業人になる」と掲げ、意気込む。

小林 宏基 Hiroki Kobayashi

 松阪市大平尾町で農業を営む小林宏基さん(29)は就農して3年目。妻の沙紀さんと共に、産直をメインに少量多品目でレタスやダイコン、カブ、ホウレンソウなどを栽培する他、JAの共選に、なばなやモロヘイヤ、オクラなどを出荷している。
 地元で増える耕作放棄地を何とかしたいと大学時代に就農を決意。卒業後に、津市で農業を営む中川昌治さんのもとで4年間研修し、2016年に独立した。
 小林さんは、産直での売り方を常に意識して作付けをする。出荷時期をずらす、他の人が出荷していないものに取り組むなど、さまざまな工夫を凝らす。また、個人レストランと契約栽培も行うなど挑戦は尽きない。
 小林さんの10年後の目標は「地域を守る担い手」になること。「離農が進む中、これ以上耕作放棄地を広げないように保っていきたい。まだまだこれからです。」と思いを語る。

千鳥 智昭 Tomoaki Chidori

 「イチゴ栽培に魅せられて情熱を注いでいる」と話すのは、多気町で就農1年目の千鳥智昭(32)さん。10アールのハウスでイチゴ「章姫」を栽培している。就農前に8年間、観光イチゴ農園で接客をしながら知識や技術を少しずつ習得してきた。「1人でイチゴを育ててみたい。もっと幅広く農業を知りたい」と就農を思い立った。
 就農後は全て1人で対応しなければならないため、計画と準備をしっかり行い、日々気配りを心掛けている。疑問や気づきは、JA多気郡営農指導員に伝え、アドバイスを受け作業に臨む。
 千鳥さんは、「他の産地に負けない美味しいイチゴを栽培し多くの消費者に届けたい。そして、地域農業に関心を持つ次世代へ就農を促していきたい。」と意気込む。

口野 智宏 Tomohiro Kuchino

 玉城町の口野智宏さん(36)は、農業法人「(株)グリーンライフ」の代表を務め、主に米や麦、大豆などを約50ヘクタールで栽培する。
 就農を決めたのは22歳の頃。三重県農業大学校を卒業し、父が経営していた農業法人を継承した。昨年からは、業務用キャベツの栽培も始めた。「米などの栽培と比べ、手作業が多くなり時間がかかった」と1年間の栽培を振り返る。
 また、現在は土壌改良などを積極的に行い、来年度産作物の品質向上・収量拡大へ繋げようと土づくりに励む。
 10年後は「主要品目の収量拡大はもちろん、キャベツなどの野菜栽培の面積も増やしながら、玉城町の農地を守っていきたい」と力強く語る。

牧谷 拓 Hiraku Makitani

 志摩市の牧谷拓さん(30)は、農業を営む両親のもと20歳で就農。現在は14アールのミニトマト栽培と2018年から始めたJAの水稲育苗施設を利用したキュウリ栽培を行う。
 就農3年目にハウスを移転して以降、10アール当たりの収量が伸び悩んだ時期もあった。しかし、生産を見直すためにJAや県が主催する勉強会へ参加して、常に高品質、高収量を目指しながら、統合環境制御技術を学んだ。その結果、ここ数年でようやく成果が出始めた。
 「お客さんとの距離が近いのが魅力」と語り、インショップや鳥羽マルシェなどの直売所で販売している。
 牧谷さんは自身の10年後について「勉強した生産技術などを取り入れて、この地域で稼げる農業の形を確立し、後進の担い手の育成にも携わっていきたい」と話したうえで「地元の方に支えてもらっているという気持ちも常に忘れず、これからも頑張りたい」と意気込む。

冨田 高平 Kouhei Tomita

 伊賀市の冨田高平さん(36)は「TomiBerryいちご農園」を経営し、32アールのハウスで章姫、かおりの、紅ほっぺ、さちのかの4品種を栽培する。農園での直売や地元の量販店・直売所などへ出荷し、今年の1月4日からはイチゴ狩りもスタートした。
 冨田さんは大学卒業後、サラリーマンとして働いていたが、偶然参加した新農業人フェアで同年代の就農者の活き活きした姿に刺激を受け、2014年に三重県農業大学校に入学。2015年にイチゴ農園をオープンさせた。
 冨田さんは今後について「イチゴの質や収量の向上を目指し、お客様の期待に応え、ハウスの増設や人材育成など、しっかりとした経営体制を構築していきたい」と意気込む。

松平 昇太 Shota Matsudaira

 温暖な気候に恵まれ、年中かんきつ栽培が盛んな御浜町でミカンの栽培に取組む松平昇太さん(31)は就農して7年目。栽培品種は温州ミカンの中で一番早く収穫出来る「味一号」(品種=みえ紀南1号)、極早生温州ミカンを中心に中晩柑類とマイヤーレモンを約100アールの園地で栽培している。
 松平さんはかつて大阪で働いていたが、祖父の他界をきっかけに「祖父が残してくれた園地を僕が守りたい。」と帰郷を決めた。ミカン栽培の環境は整っているが知識が無かった。JAの講習会に通い試行錯誤は3年続いた。4年目に入った頃、若手農家の集まりに参加し、情報が集まるようになった。「美味しいミカンを作りたい。」と品質向上の為、全ての極早生温州ミカンをマルチ栽培に変更。
 松平さんは「今後は生産量増加にむけて、栽培面積を拡大していきたい。これから設備を導入し省力化にも取組む。品質を向上させていきたい。」と語る。